肩こりに次いで多い不調 ― 「首こり」の正体とは
これまで【肩こり①】〜【肩こり③】にわたり、肩こりの原因について詳しく解説してきました。
そして、肩こりに次いで現代人が悩まされているのが、「首こり」です。
首こりの原因は、肩こりと非常によく似ています。
その本質的な要因は、人間の身体構造そのものにあるといえるでしょう。
人間の首は“非力”すぎる構造?
人の頭部は、実に**スイカ1個分(約5〜6kg)**もの重さがあります。
この大きく発達した大脳を納めた“重たい頭”を支えているのが、わずか7つの小さな頸椎と、限られた筋肉群です。
たとえば、馬や犬のような四足動物を思い浮かべてみてください。彼らの首は太く、筋肉が発達しており、頭部を自然に支えられる構造をしています。
一方、人間は二足歩行であるうえに、細く長い首と小さな筋肉でバランスを取っているため、構造的に首への負担が大きく、トラブルが起こりやすいのです。
現代病としての「首こり」
「寝違え」や「むち打ち症」などの外的要因による首の不調に加えて、**現代社会特有の“姿勢の乱れ”**も、首こりの主な原因とされています。
特に問題なのが、スマートフォンやパソコン作業による前傾姿勢です。
この姿勢が長時間続くことで、首本来の緩やかなS字カーブ(生理的前弯)が失われ、ストレートネックや前方頭位と呼ばれる状態になります。
すると、首の骨で支えるべき頭の重さがすべて筋肉にのしかかることになり、
首の筋肉は常に緊張したまま、緩むことなく硬直してしまうのです。
これが「首こり」の慢性化、ひいては頭痛や自律神経の乱れにもつながっていきます。
首こりを見過ごすことのリスク
首は、脳へと通じる神経・血管・リンパの経路が密集する重要な通り道でもあります。
そのため、「首こり」は単なる筋肉疲労ではなく、
身体全体の不調の前触れとして捉えるべき症状なのです。
慢性的な首こりがある方は、肩こり・頭痛・眼精疲労・めまい・集中力の低下など、複数の不調を併発していることが多く見られます。

首の緊張が招く“負のスパイラル”
首の筋肉が緊張状態にあるということは、そこに血流やリンパの流れが滞り、老廃物や疲労物質が排出されにくくなるということです。
つまり、働きすぎて疲れ切った筋肉が、休むことも回復することもできず、疲労が蓄積していく状態です。
こうした筋肉の蓄積疲労は、次第に首の可動性を低下させ、
「動かすと痛い」「こわばって回らない」といった不快感へとつながります。
そしてこの動かしにくさが、さらに筋肉の緊張を悪化させる――という悪循環が始まってしまうのです。
本来の首のカーブが“ばね”の役割を果たしている
人間の首の骨(頸椎)は、もともとゆるやかな前弯(カーブ)を描いています。
この自然なカーブこそが、頭部の重さによる負担を「ばね」のように分散・吸収してくれる構造なのです。
しかし、長時間のスマートフォン操作や、猫背・前かがみの姿勢など、現代の生活習慣によってこのカーブが失われると、「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。
ストレートネックは“首こり予備軍”
ストレートネックの首は、ばねの機能を失った状態。
本来であれば骨格が分散していた重みが、ダイレクトに首の筋肉へかかってしまうため、筋肉は常に緊張し、疲労しやすくなります。
その結果、
首こりの慢性化
頭痛や眼精疲労
肩こりや背中の張りの悪化
自律神経の乱れによる不調
といった、さまざまな体の不調へとつながっていくのです。
現代人の多くが、このストレートネックに気づかず生活しており、
「なぜか首がいつもつらい」「休んでも疲れが取れない」という方は、
知らず知らずのうちに“首のばね”を失っている可能性があります。
骨盤の歪みが引き起こす、首こりという意外な不調
首こりの原因には、意外にも**「骨盤の歪み」が大きく関係しています。
首に不調を感じている方の多くが、実は腰や骨盤にもトラブルを抱えている**という事実をご存知でしょうか?
人の背骨は、頸椎(首)、胸椎(背中)、腰椎(腰)という3つの部分で構成されており、
本来はそれぞれが緩やかなカーブを描くことで、全体として**“S字”の弯曲(=生理的弯曲)をつくっています。
このカーブ構造が、頭部から腰までにかかる重力や衝撃を分散するクッションのような働き**をしています。
骨盤の傾きが連鎖的に引き起こす「首こり」
しかし、長時間のデスクワーク、片脚重心の立ち方、足を組むクセなどにより、
骨盤が前や後ろに傾くと、そのすぐ上にある腰椎の自然なカーブが崩れてしまいます。
腰椎のカーブが乱れると、背中や腰の筋肉が過剰に緊張し、
それに引きずられるように首の骨のカーブ(頸椎前弯)も乱れてしまうのです。
その結果、首の筋肉にも常に無理な負荷がかかり、首こりや慢性的な張り、重だるさへとつながっていきます。
不調は“首”ではなく“骨盤”から始まっていることも
つまり、首こりという症状が出ている場合でも、原因は首ではなく骨盤にあることも珍しくありません。
「首を揉んでも楽にならない」「一時的に良くなってもすぐに戻る」といった場合、
身体の土台である骨盤から見直すことが根本改善の鍵となるのです。

首の不調は「首だけの問題」ではない
「首がつらい」というお悩みを持つ方に対して、当サロンでは単に首を揉んだり引っ張ったりするのではなく、背骨や骨盤の調整、背中の筋肉の緩和、血流とリンパの循環改善、さらには全身のバランス調整を大切にしています。
実際、ほとんどの場合において、首そのものに直接的な強いアプローチを行わなくとも、全身のバランスを整えるだけで自然と首が緩み、楽になるケースが多く見られます。
一時的なケアで終わらせない、根本的な改善を目指して
首の筋肉が硬くなっていると、オイルでのリンパケアや軽い揉みほぐしで一時的には楽になるでしょう。
しかし、根本的な原因にアプローチしない限り、次の日にはまた同じつらさを感じたり、頭痛や吐き気といった二次的症状を招くこともあります。
だからこそ、単なるリラクゼーションで終わらせず、「なぜ首がつらくなるのか?」という原因の深掘りと身体全体の調整が必要なのです。
代表的な首のトラブル
「寝違え」〜首のぎっくり〜
朝起きると突然首が動かなくなる「寝違え」。
腰でいう「ぎっくり腰」のように、首にも急性的なトラブルが起こることがあります。
これは、首の筋肉が疲労し、柔軟性が失われている状態で、寝返りなどによって急に筋肉が引き伸ばされた結果、筋繊維や筋膜に**急性炎症(ケガ)**が起こるためです。
この状態では、
揉む
叩く
温める
といった行為はNGです。炎症によって熱を持っているため、初期(1~3日)は冷却と安静が基本です。
炎症が治まってからは、温めたり、関連する筋肉を緩めることで血流促進と回復を助けることが大切になります。
※個人的には、鍼灸治療が非常に効果的だったという経験もあります。
「むち打ち症」〜見た目ではわからない重度のダメージ〜
交通事故などによって発生する「むち打ち症(頸椎捻挫)」。
これは、不意な衝撃によって首がムチのようにしなることで、筋肉や靭帯が損傷を受ける状態です。
この症状では、単なる筋肉の緊張だけでなく、靭帯の損傷や神経系への影響が見られることもあり、
・頭痛
・めまい
・手のしびれ
・耳鳴り
・自律神経症状
など、時間とともに全身に広がる不調が現れることもあります。
適切な対応が必要で、整形外科や整骨院などでの超音波治療や専門的リハビリが推奨されます。
当サロンでは、体全体のバランスを見ながら、再発しにくい身体作りも含めたトータルケアをご提案しています。



院長 おおしま
