日本人に最も多い身体の不調、「肩こり」。
一見、働き盛りのビジネスパーソンに多いと思われがちですが、実は学生や主婦の方、さらには力仕事をされる方々など、年齢や職業を問わず多くの方が悩まされています。
日常的にお子さまを抱っこされているお母さまや、長時間スマートフォンを使用する若年層にも肩こりの症状は広がっており、まさに現代人にとって“国民病”とも言える存在です。
そのニーズの高さから、「肩こり解消」をうたう格安マッサージ店やリラクゼーションサロン、整体院が数多く存在し、書店には肩こり関連の書籍が並び、インターネットで検索しても膨大な情報があふれています。
しかし、その情報の多さに圧倒され、逆に肩がこってしまいそうだ…と感じたことはありませんか?
本当に肩こりから解放されるためには、まず「肩こりとは何か?」を正しく知ることが重要です。
根本的な原因を理解すれば、自ずと改善への道筋も見えてきます。
そもそも、「肩こり」とは?
一言で表すならば――
肩こりとは、「僧帽筋(そうぼうきん)」と呼ばれる筋肉に生じる“硬結(こうけつ)”、つまり筋肉のコリやしこりのことです。
僧帽筋は、首から肩、背中の上部にかけて広がる大きな筋肉で、頭を支えたり肩甲骨を動かしたりと、日常的に非常に多くの働きを担っています。
そのため、長時間の同じ姿勢や精神的な緊張、血行不良などの影響を受けやすく、負担が蓄積されると筋繊維が硬くなり、しこりとなって痛みや不快感を引き起こします。
つまり、「肩こり」とは単なる疲労ではなく、筋肉に生じた明確な変化であり、放置すれば慢性化し、頭痛や手のしびれなどを引き起こす可能性もあるのです。

僧帽筋とは?そして「硬結」とは何か
図で赤く示されている部分が「僧帽筋(そうぼうきん)」です。
首から肩、背中の上部まで広がるこの大きな筋肉は、肩や肩甲骨の動きに深く関わる重要な存在です。
そして、「肩こり」の正体とも言えるのが、この僧帽筋に生じる**硬結(こうけつ)**です。
本来、柔軟であるはずの筋肉組織が、何らかの原因により硬くなってしまった状態――それが硬結です。
硬結の主な原因としては、以下の2つが挙げられます:
筋肉の炎症
同じ動作の繰り返しや外傷などにより筋肉が過剰に使われると、微細な損傷が起こり、炎症反応として腫れや熱感が生じます。うっ血(血流の停滞)
運動不足や長時間の同一姿勢により、血液やリンパの流れが滞ると、老廃物が筋肉内に蓄積され、コリとなって現れます。
つまり、肩こりは「使いすぎ」でも「使わなすぎ」でも起こりうる、非常に厄介な症状なのです。
あなたの僧帽筋、硬くなっていませんか?
僧帽筋が硬くなると、肩の可動域や姿勢のバランスにさまざまな影響が現れます。以下の動作をチェックしてみましょう。
顔を上に向ける(上を向く)
横から腕を上げてバンザイする
胸を張る
肩甲骨をぐるぐる回す
これらの動作がスムーズに行えない場合、僧帽筋に硬結がある、つまり「肩こり」が進行しているサインかもしれません。
肩こりが引き起こす“負の連鎖”
僧帽筋をはじめとする肩周りの筋肉が硬くなると、まず肩甲骨の動きが制限されます。
肩甲骨の動きが悪くなると、次第に鎖骨の柔軟性も低下。ちなみに、男性の腕1本の重さは約6kg。この重たい腕を支えるのが、実は鎖骨なのです。
また、肩甲骨を引き上げる役割を担っている首の筋肉も過緊張を起こし、結果として「何もしていないのに首や肩がこる」という状態に。
さらに、肩甲骨・鎖骨の連動性が失われることで、腕の可動域が狭まり、日常の動作も小さくなりがちに――こうして**肩周辺の筋肉はますます運動不足に陥り、肩こりが悪化する“負のスパイラル”**へと陥ってしまうのです。
次回は、こうした「肩こりの引き金」となる日常の習慣や身体の使い方について、さらに詳しくご紹介していきます。
ぜひお楽しみに。
院長 おおしま